記憶の屑籠

考えたこと買ったもの。いろいろ詰め込む雑記ブログ

『改訂新版 新書アフリカ史』(講談社現代新書)

長い長いアフリカ旅行が終わった。700頁以上あるとても分厚い本なので、暫く積読本となっていたが、やっぱりアフリカに旅行がしたくてその扉を開いた。おかげで読み終わるまで頭の中はアフリカでいっぱいだった。

 

この本を読むにあたって地図は必須である。もちろん、無くても図があるので大丈夫だが、地形図、気候区分の地図は常に見れるといい。より旅行を楽しめるだろう。

 

第Ⅰ部は、旅行前の旅先の紹介である。アフリカの基本的情報が書かれているので、知識が無くても安心だ。気候や人類の起源について知識を蓄えたら、いよいよ本格的にアフリカを旅することになる(Ⅱ部・Ⅲ部)。"世界史から消えていた時代のアフリカ"をアフリカ大陸を流れる川のその流域ごとに環境や人々、文化について詳しく教えてくれる。初めて聞く単語だらけで旅のスピードはゆっくりになるが、新鮮で、自分の中にあったアフリカのイメージを良い意味で壊してくれる。紀元前からヨーロッパ人との接触まで果てしない時を旅することができる。

 

Ⅳ部は世界史にも登場する植民地支配についてである。単語としては聞いたことがあるものが多いが、書かれ方は世界史で見てきたものとは違う。接触から植民地支配されるまで地域別に詳しく触れられている。それに抵抗するアフリカの人々を描いているのがⅤ部である。私は、ヨーロッパ人が支配しようとした時あっさりと植民地になってしまったのだと思っていた。それは抵抗しても武力の差があまりにもあるために、簡単に制圧されるだろうという推測からである。ところが、マキシム砲を持ってきたイギリス軍相手に遊撃戦と夜襲で互角に戦っていた事実があった。またしても私の"常識"は見事に壊された。挿絵で戦ったアフリカ人の写真がるのだが、それがとにかく痺れる。魂がかっこいい。本書で一番印象に残っているのはこの抵抗するアフリカの人々であった。

 

Ⅵ部は誰もが思う疑問、未だに紛争が続いていることや貧困問題について。現状とこれからについてどのニュースよりも詳しく述べられている。こうして壮大な旅行は終わる。ニュースでアフリカの国々が出てくると、その歴史や背景を確認しにこの本に戻って旅行したくなるだろう。そんな時に、すぐに目的地に到着できるように、索引が付いている。アフターサービスも素晴らしい。1800円と新書の中では高いが、何度も時空を超えたアフリカ旅行ができると思うと安いのではないだろうか。