記憶の屑籠

考えたこと買ったもの。いろいろ詰め込む雑記ブログ

『脳の意識 機械の意識』(中公新書)

人間の意識を機械に移植できるのか

そんな疑問に答える本。

 

1章は、意識の定義について。脳の仕組みから分かりやすく解説してくれる。

クオリアなど聞きなれない言葉が出てくるが、図がたくさん載っているのでそこまで難しく感じなかった。

 

2・3章は、意識の科学の概訳。個人的に一番面白かった章。研究者目線で書かれているので、特に理系大学院まで行くような人は身近に感じるかもしれない。実際に私がドキリとしたのは、「悪い実験」とは何かの節である。まだ学部生だが、院に行って本格的な研究を始めるとありそうなことが書かれてあった。専攻は全然違うが、研究時には何度も読み直したい。

ただでさえ難しい話で専門用語もたくさんあるが、3章の野球の例えがとても分かりやすかった。刺激を受けてから知覚するまでの時差の話だが、具体的で理解しやすいと思う。

 

4章は、意識の難しさや自然則の必要性について。サーモスタット(デバイス)に意識は宿るのかという命題は、読む前と読んだ後で意見が変わるかもしれない。

 

5章では、機械の意識のテストを思考実験する。眠い時に読んだ影響もあるかもしれないが、後半からは難しく感じた。足や腕を失った人はよく幻肢痛になるらしいが、それに有効なリハビリの話には嬉しさを感じた。

 

終章は、技術的な展望について。やたら仮定が多い。(未来についてなので仕方がないのかもしれないが)全てうまくいったら前提で話が進むので、その仮定はどのくらい現実になりそうかについてもう少し書いて欲しかった。

 

数年後にまた読み返し、"答え合わせ"をしようと思う。